Scramble
気づいたときには、私は渋谷で下車していた。
別に買い物に来たわけでもないし、
若者の街に魅了されたわけでもない。
ただ、何となく、渋谷で降りただけ。
駅を出て、ビルの影の路地を歩く。
その日の東京は、じめじめとした嫌な暑さだった。
空が曇っており、いつ雨が降ってもおかしくなかった。
しばらく歩くと渋谷駅ハチ公像出口前、
渋谷駅前スクランブル交差点にいた。
テレビでも見覚えがあったが、
そこに来たという実感はなかった。
交番があったが、そこには行かずに歩を進めていった。
青信号になる。
何百人もの人々が一斉に四方八方に進む。
その中の一人の私。
小さい存在だな、と思った。
その時の目的は何だったのか自分でもよく分からない。
東京に行くと言っていたので、取りあえずの目的は果たした。
しかし、なぜ進んでいったのかは本当に分からない。
もしかしたら、頭が病んでいて、何も考えていなかったのかもしれない。
道玄坂の109の前を通り、センター街の脇の路地を進み、
NHK放送センターの前に来ていた。
前にもここに書いたが、私はNHKが好きだ。
確か、NHKに行こうと思ったのは覚えている。
渋谷に来てから思いついたので、前からそう思っていたわけではないのだが。
その頃には汗で服が湿っていた。
それでも私は歩き続ける。
NHKの敷地の周りを一周し、
代々木公園の方へ行く。
その時には雨が降っていた。
時刻は確か13時頃だった気がする。
人々は傘を差し、歩いていた。
私は傘も差さず、濡れながら歩いていた。
本当に何を考えていたのか分からなかった。
それからどこを歩いたか記憶にないが、原宿駅にたどり着いた。
黒人男性が片言で「カサ、カサ」と言って、
傘を売っていた記憶がある。
その人がパフォーマンスをしていて、
純粋に「うまいなぁ」と思っていた自分は本当にのんきだった。
取りあえず、電車で移動しよう。
切符売り場の路線図を見る。
吉祥寺という駅名が目に入っていた。
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出会い。
人と出会えたならそれは奇跡だと思う。
すれ違いざまに挨拶をするのも出会いのうちだと思う。
乗り物で席を譲っても出会いだと思う。
出会いは多いが、
世界から見れば70億分の1の出会いだ。
同じ場所で同じ時を過ごしていれば、それも出会いだと思う。
今日は誰に出会うのかな。
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